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「自分らしさを保ちながら、知らなかったことの扉が開けていく」 起業家夫婦の子育てと家族観 / SHE 福田恵里さん × mento 木村憲仁さん

更新日:6月18日

「HOTEL CAFUNE」のオウンドメディアでは、出産・子育てを経験しながらそれぞれの人生を歩んでいる方々にお話を伺い、さまざまな家族・育児のあり方について考えたいと思います。

今回ご登場いただいたのは、女性向けのキャリア支援事業などに取り組むSHE株式会社創業者の福田恵里さんと、パートナーでコーチングサービス「mento」を立ち上げた木村憲仁さん。起業家として会社を経営しつつも支え合い子育てをしているお二人の家族観についてお話を伺いました。

陣痛が始まらない、壮絶な5日間

福田恵里:2015年、大阪大学在学中、サンフランシスコに留学し、現地の起業家に感銘を受ける。帰国後初心者の女性向けのWebスクールを立ち上げ、300名以上が受講。大学卒業後リクルートホールディングスに新卒入社し、ゼクシィやリクナビのアプリのUXデザインを担当。 2017年、26歳の時に、ミレニアル女性向けのキャリア支援を行うSHE株式会社を設立。主要事業である「SHElikes」は累計受講者5万名以上を突破。2020年に同社代表取締役/CEOに就任。プライベートでは一児の母。現在第2子妊娠中。


ーー恵里さんはコロナ禍のなかで第一子をご出産され、今は第二子をご懐妊中だと先日ご発表されました。第一子のご出産はどのようなご経験でしたか?


福田:滋賀県に里帰りして、計画無痛分娩をする予定でした。入院してから陣痛を起こすための誘発剤を打つのですが、まったく本陣痛につながらず。なんと5日間も毎日ベッドの上にいるだけの生活でした。しかも、いざ出産となった時に麻酔が全然効かなくて・・・。かなり壮絶な体験でした。ベッドで寝ている間に同じように苦労した産婦さんの体験記をネットで調べては読んで、それを励みにしていました。


木村:当時は新型コロナの流行が始まったばかりの頃で立ち合いもできず、病室からオンライン通話をつないで話をするだけの状態でした。その間、僕は奥さんの実家にいたのですが、待てど暮らせど陣痛が始まらず、みんなが不安にしていたのをよく覚えています。


ーー出産のご苦労などが取り沙汰されることも多いかと思うのですが、妊娠中はどのように過ごしていらっしゃいましたか?


福田:実は、つわりが妊娠6カ月くらいまで続いていて。つわりがあまりにしんどすぎて、ただ寝ていてもそのことしか考えられないので、仕事で何かに集中したり、仲間と一緒にディスカッションしている方が気持ちがまぎらわせるような状態でした。


木村:とにかく日常生活がままならないので、僕が食事を作ったり、片付けをしたり、最低限のことはやっていました。そうはいっても、自分も起業初期だったので、余裕がないこともあり、帰るのが遅くなった時には恵里に怒られたことを覚えています。ある時は、「家の臭いが無理になった」と突然言われ、ずっと使っていた絨毯を捨てることになったこともありました。そういうものなんだと、とにかく彼女のいうことを全て聞くようにしていました。


福田:最初は自分の変化に自分がついていけないような感じでした。自分の感覚が普通からずれているのかどうかがわからず、「なんでこうしてくれないの!」みたいに押し付けちゃうこともありました。会食もいつもなら「好きに行ってきなさい」というスタンスなんですが、週に何度も続くと、「男性はいいよね」と卑屈な気持ちになってしまいました。それまで自分の原体験としてジェンダーギャップに悩まされたことがあまりなかったので、ここまで生物学的な差を感じたのは初めてでした。女性しか妊娠できなくて、この痛みもつらさも、もちろんそれと引き換えの幸せはあるんですが、自分にしかできないんだというやるせなさを感じていました。


経営者としての二人、仕事と育児の両立

木村憲仁:早稲田大学文学部卒業。2014年新卒でリクルートホールディングスへ入社。販促領域のプロダクトマネージャーを4年半務め、消費者向けのサービス開発を牽引し事業成長に貢献。2018年に株式会社mento(旧社名ウゴク)を創業し、ピボットの末に翌年mentoのサービスを提供。プロによるコーチングをよりアクセシブルにすることで、ミレニアル世代のビジネスパーソンの成長を支えている。


ーー産後の生活はどのようなものでしたか。

福田:出産するときに子供の頭が大きすぎて出てこれず、吸引分娩になったんです。その時に器具を入れるために切開をしたのですが、産後の麻酔が切れてからがとにかく痛くて。最初の2週間くらいは座ることもできず、ご飯も立ったまま食べていました。この期間実家にいて親に助けてもらえたのがありがたかったですね。二人だけだと無理だったと思います。


木村:絶対に無理だよね。彼女は体にダメージを負っていて、二人で子供の面倒を24時間見なきゃいけない。仕事を休んでギリギリ回せるかな、くらいの感覚でした。


福田:私的には夜寝られないのが一番つらかったですね。産後半年までは2〜3時間おきに授乳があって、その間も寝かしつけたり自分が覚醒してしまったりして、細切れの睡眠しかとれない。それで日中は仕事をしていたのがかなりきつかったですね。睡眠不足も終わりが決まっていたら頑張れますが、いつまで続くのかもわからず、どうなっちゃうんだろうという不安を毎日かかえていました。ここでも、母親が1日おきに夜間授乳を手伝ってくれて、まとまって寝る時間を作ることができたのは本当に助かりました。


ーー里帰りを経て、東京に戻られてからの生活はどのように過ごしていらっしゃいましたか?

福田:ラッキーだったのが、同じマンションに妹が住んでいたことで、妹が週に何度か手伝いに来てくれたんです。それ以外の日はベビーシッターさんにお願いをすることで平日の日中に仕事ができる生活を整えました。もちろん保育園に入れるという選択肢もありましたが、母乳のみで育てていたので、長い時間は預けられず。シッターさんに預けている間も数時間おきに母乳をあげていました。今考えるとよくやれたなあとおもいます・・・(笑)。


木村:僕も色々気になって調べてはいたんですが、保育園のことを調べるにも自治体のホームページがわかりづらかったり、そもそも申し込んでもすぐに入れるわけじゃなかったので、大変だなと思いました。


福田:ご家庭によってはそれを女性だけで調べることもあるだろうから、そりゃあ追い詰められちゃう人も多いわけですよね。


ーー経営者として、育児中に困ったことはありましたか?

福田:自分がいなくなったからこそ他のメンバーが育ったり、私たちが守らなきゃという当事者意識を持ってくれたことで事業が成長したんです。結果としてはよかったのかもしれません。


木村:僕の場合はシード期だったこともあって、めちゃくちゃ影響がありましたね。任せられる相手もいなかったですし、自分のかける時間がダイレクトにパフォーマンスに影響する時期でしたから。メンタルがきつかったですね。全然寝れてなくてイライラするし、議論をしていても頭が回っていない感覚がありました。


福田:二人ともシード期だったら絶対に無理でしたね(笑)。


木村:だけど、経営者でよかったなとも思うんです。会社員だと働く時間が決められていることも多いので、日中仕事をしていないと働いていないとみなされてしまいます。自分たちの場合はいくらでも時間を調整できるので、融通が効くという点ではよかったのかもしれません。


親であること、一人の人間であること

ーー親になったなと感じる瞬間はありますか?

福田:そうですね・・・あんまり、思わないかもしれません(笑)。生まれた時にも友達から「心境変わった?」とよく聞かれましたが、本当に正直な話、あんまり変わらなかったんですよね。もちろん、自分より大切なものができたことは間違いないですが、それでも普通に自分の好きなように生きている感覚はあるんです。出産によって何かを犠牲にした感覚がない。


木村:自分の場合は子供が大きくなった先の社会に対する意識がすごく上がったと思います。将来の人口や経済のことを考えて、どうすれば大人になった時にこの子が幸せになれるのか。自分たちの事業を通じてより生きやすい世界にしたいという思いもありますし、社会に向ける視点がかなり広くなったと思います。


福田:たしかに、それはめっちゃありますね。産休の期間ってお世話はしつつも頭の思考リソースは空いているので、この子が20歳になったらどうなるんだろうということをめちゃくちゃ考えてました。自分の会社で「義務教育をアップデートしたい」というビジョンが生まれたのもその頃でした。プライベートの出来事だと切り離さず、仕事ともつながりつつ、相互に還元できている気がします。


木村:僕の場合はやっぱり生まれてからいろんなことを調べるようになりました。四苦八苦しながら親になったような感覚があって、半年から一年くらいかけてようやく馴染んできた感じがします。どうしても子供を優先する必要がある時間が増えるので、自分でコントロールができなかったり、わからないことが増えてきて、それによって自分の範囲が広がるような感覚があったんです。うまくいかないことにはいまだにイライラしますけれど(笑)。


福田:毎日だよね、保育園行くの嫌がるし(笑)。


木村:でも、それも含めて成長だなと。一喜一憂してたらしょうがないと思うようになりました。


ーー親でありながらもまた一人の人間であるために、なにか意識していることはありますか?


福田:我慢しない、ということですかね。そのためにありとあらゆる手段を使ってアウトソースをしています。仕事をしていると自分の時間がなかなかとれないわけですが、土日でもベビーシッターさんにお願いをして、リフレッシュをしたりとか。家事代行をお願いすることで家事を「やらなくていいこと」に決めて、その分の時間を仕事や子供に全力投球しています。


木村:僕はもともと趣味がなくて、仕事できていればいいやというタイプだったので、時間的な制約はありつつも、子供が生まれたからといって自分の何かが失われたという感覚はないかもしれません。


福田:なんなら自分らしさをキープしながら拡張していくというのが、子供が生まれてからの方ができている気がします。やったことのないこと、知らなかったことの扉が開けた感覚はあります。これまでインドアだった私たちが毎週末テーマパークやドライブに行くようになりましたし、それが知らなかったことの発見にもつながって単純に楽しいんです。


木村:そうだね。子供のためというよりも、自分たちも本音で楽しい感覚はあります。家族全員でどんどん自分らしさを拡張しているのかもしれません。



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